毎日・世論フォーラム
第280回
平成27年10月9日
維新の党の前国対委員長 馬場 伸幸

テーマ
「維新が目指す政策と国政進出のねらい」

会場:ホテルニューオータニ博多

「おおさか維新」、政権と連携意欲

馬場 伸幸 維新の党の前国対委員長
馬場 伸幸 氏

プロフィール

馬場 伸幸
(ばば のぶゆき)

1965年1月、大阪府堺市鳳(現西区鳳)生まれ50歳。大阪府立鳳高等学校卒業。93年、堺市議補選に出馬、初当選。1年から大阪維新の会副代表。12年堺市議を辞職し衆院選出馬、初当選。現在2期目。 10年に地域政党『大阪維新の会』の結成に参加。11年より大阪維新の会副代表を務める。14年7月『結いの党』との合流による『日本維新の会』分党の際、橋下徹大阪市長による新党結成を目指すグループに参加。分党後の『日本維新の会』では、国会議員団総務会長代理及び組織委員長に就任。同年9月『維新の党』の結党に参加、同年12月の衆院選で再選し国会対策委員長に。15年8月、安全保障関連法案等への対応をめぐり9月8日に片山虎之助総務会長らとともに国会対策委員長を解任された。

 第280回例会は、維新の党の馬場伸幸前国対委員長が「維新が目指す政策と国政進出のねらい」と題し講演、会員150名が参加した。馬場氏は、安倍晋三首相が掲げる社会保障分野などの「新三本の矢」について「足らざる部分をやっていくのがわれわれの務めだ」と述べ、24日の新党「おおさか維新の会」結成後、安倍政権との政策面での連携に意欲を示した。また、新党が重視する政策として憲法改正を伴う1院制、道州制、税と社会保障の一体改革などを挙げ、「安倍首相、菅義偉官房長官のコンビなら、われわれの改革に近づいてくれるのでないか」と述べた。講演要旨は次の通り。

 今日は「大阪維新の会」の話をしたい。今は平仮名の「おおさか維新の会」も誕生しかけているが、当初は漢字だった。大阪では自民党を上回る支持率があるが、大阪以外だと何を目標にしているのかあまり知られていない。
 2008年1月に橋下徹が大阪府知事に当選する前は、中央官僚出身の女性が知事を8年間した。だが、なかなか大阪の活性化が見込めなかった。橋下府政の誕生後、借金が膨らみ破綻寸前の大阪市の三セクの超高層ビルを府が買い取り、府庁にする計画が府議会で諮られた。しかし可決の見込みだったのが、最大勢力の自民党大阪府議団から造反者が出て否決になった。当時府議団の政調会長が松井一郎現知事。ショックを受けて、仲間と分派して「自民党・維新の会」を作った。それが維新の党の芽生えだった。
 大阪市と大阪府は図書館や美術館を競って建てた結果、巨額の財政赤字を抱えた。そこで市長と知事のダブル選挙に勝利し、市と府を一つにして行政コストを下げる大改革をやろうとした。2012年の衆院解散当時、国政に関心はなかったが、「大阪都構想」は国の法規制を変えないと実現できないと分かり、「日本維新の会」という政党を結成した。
 我々は自民党にも民主党にもできない政策をやりたい。同様のグループを集めて自民党に対抗しうる集団を作りたいが、路線の違いから離合集散が続いている。その間、大阪では橋下市長と松井知事が着実にいろいろな改革を実行した。残念ながら5月の住民投票で都構想は小差で否決されたが、大阪では来月に知事と市長のダブル選挙があり、我々は「新大阪都構想」を提示する。行政制度上の諸問題は全国共通だ。大阪が良くなればそのモデルを全国へ広げ、道州制にもつなげたい。
 10月7日、第3次安倍内閣が発足した。安倍首相と菅官房長官のコンビであれば、我々の思う改革に近づくと思う。アベノミクスの「新3本の矢」はちょっと的外れと私自身は感じているが、その足らざる部分をやっていくのが我々の務めだ。
 維新の党の分裂劇の原因は何か。我々は公務員労働組合など、既得権を守る組織の支援を受けない民主党内の保守派と一緒にやりたい。民主党にたくさんいるピュアな保守系議員と新しい旗、願わくは橋下徹の元に集っていけばいい。民主党の保守系議員もそれを望んでいる。しかし今、維新内で「民主党と合流する」と言うグループは何でもいいから「こっちも解党するから民主も解党して一緒になろう」という考えだ。その基本的な路線の違いが分裂劇につながっている。私は野党だが、「抵抗野党」や「反対野党」でなく、「責任野党」を目指している。野党の離合集散はしばらく続くと思うが、この旗印でやっていけるという人を結集し、「維新もええな」と、選択肢を広げるような政界にしていきたい。
 ところで、皆さんが一番興味あるのは「橋下さんは政界引退した後で復帰しないのか」、ということだと思う。橋下徹は12月18日で大阪市長の任期を満了し一度引退する。これは事実ですが、その後はどうか。「新大阪都構想を実現して大阪から日本を変えたい」。そういう思いがまた沸き立っていると私には見える。来年の参院選か、あるいは同時かその後にあるかもしれない衆院選、いずれかの国政選挙で政界に復帰してくれると固く信じている。
 橋下徹はあまのじゃくで、人から「やめとけ」と言われたら、やりたくなる。「やってください」と言われたら、やりたくなくなる。逆境に追い込まれるほど力を発揮するのが橋下徹です。今回の党の分裂も彼のファイティングスピリッツに火を付けた。これからいろいろなことが政界で起こる。また、このまま自民党が日本の政権政党であり続ける社会情勢でもない。必ず自民党も再び野党になるピンチがやってくる。そのときに向け、「維新スピリッツ」で頑張るので見守っていただきたい。

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