日本維新の会 国会議員団幹事長
松野 頼久 氏
プロフィール
松野 頼久
(まつの よりひさ)
熊本県山鹿市出身53歳。日本新党職員、細川護煕元首相の秘書を経て、00年、民主党熊本1区より衆議院に出馬、初当選。以降4期連続当選。12年、民主党を離党し日本維新の会結党に参加。10月、同国会議員団代表、11月より国会議員団幹事長。
第260回例会は、日本維新の会の松野頼久・国会議員団幹事長が「維新のめざすもの」と題して講演、特定秘密保護法を国会の採決強行で成立させた与党の対応について「野党を3年やったことで、自民党の国会運営能力がものすごく下がった」と批判した。松野氏は「国会を1週間も延長すれば円満に法案は通るのに混乱した姿を国民に見せ、内閣支持率や自民党の支持率は下がっている。何をしようとしているのか全く分からない」と述べた。野党についても「与党を経験したことで野党としての能力が下がった。双方とも力が低下しており日本にとって良いことではない」と指摘。野党再編による受け皿作りに意欲を示した。講演要旨は次の通り。
民主党から自民に再び政権交代し、野党は今、ちりぢりばらばらの状態だ。みんなの党が分裂したが、各政党はこれまでも分裂と再編を繰り返してきた。今の政党支持率を見ると、民主、維新、みんなの各党を足しても大きな数字にはならない。特定秘密保護法成立を巡って自民は支持率を落とすだろうが、それでも自民一強のままだ。ばらばらに野党が動いてはいけないと思う。有権者も「選挙で勝てない船を応援してもだめだ」と思っているだろう。維新、民主、みんなが統一会派を作るなど何らかの形で一つになり、次の選挙までにもう一つの大きな核を作らなければならない。
特定秘密保護法、消費税についても強引なのではないか。アベノミクス、株価上昇で生活が良くなっているかというとそうではなく、実態経済とはまだほど遠い。景気回復に至っていない状態で、消費税は来春上がる。不安を抱いている人は多いだろう。
民主党に政権交代して「大変なことになった」と思った人も多いと思う。しかし、政権交代で進んだこともある。例えば、行政改革については、安倍政権はあまり進めていないのではないか。原子力関係の天下り先だけでもまだ九つある。民主党政権では、こうした天下り先の整理を進めた。民主党政権は100点満点ではなかったが、進めたこともあるということだ。政権がたまに代わって方向転換することは必要ではないかと思っている。米国では、大統領が代わることで、政権を交代させバランスを取ってきた。
自民党と民主党では外交面でも重視する方向が変わった。民主はアジアを重視し、自民は日米関係を軸に外交を進める。日米とアジアとのバランスを取ってうまく政権交代していくことはいいことだと思う。
民主党政権の崩壊は、約束していない消費増税を突然言いだし、逆に、約束したことをないがしろにするなどしたことが大きかった。だが、自民とは違うチャンネルを持つことは大切だ。日が当たらなくとも、今はもう一つの受け皿を作る作業を進めなければならない。次の選挙までに自民党以外のものを提示できるようにしなければならない。再編をしなければならない。
みんなの分裂が再編の幕開けになると思う。民主党は来年7月に代表選の可能性があり、そこで野党再編派の執行部ができれば、分裂に進むかもしれない。みんなを離党した江田憲司さんも野党結集をやると言っている。維新と江田さんの新党がすぐに合併するということはなく、まずは政党と政党の話し合いをしなければならない。連携についてはこれからの話し合い次第だ。
維新結党の原点は、統治機構の改革だ。大阪都にして究極の行政改革を日本全体でやりたい。2院政を1院政にし、道州制を導入したい。九州・沖縄に知事は8人いるが、1人でいい。県議も減らし、自治体も減らす。行政サービスも公がやることと自分でやってもらうことをきちんと分けたい。こうしたことをしないと、アベノミクス、消費増税をいくらやってもだめだ。自民ではできない規制改革をしたい。