毎日・世論フォーラム
第251回
平成25年3月25日
自民党幹事長 石破 茂

テーマ
「自民党はどうかわったか」

会場:ホテル日航福岡

参院選では最低でも過半数

石破 茂 内閣官房参与
石破 茂 氏

プロフィール

石破 茂
(いしば しげる)

1957年2月、鳥取県出身56歳。79年3月、慶應義塾大学法学部卒業。同年4月、三井銀行(現三井住友銀行)に入社。83年退社、木曜クラブ(旧田中派)事務局に入り、翌年まで勤務して退職した、86年の衆議院総選挙。鳥取全県区から自民党公認で出馬、初当選した。当選8回。12年9月、自民党総裁選挙に出馬。決選投票で安倍晋三元首相に19票差で敗れたが、党員票で過半数を集め自民党での存在感を高めた。安倍新総裁の下で幹事長に就任。各マスコミへの登場の頻度が高いほか著書も多数。「国防」(新潮社)は我が国の防衛問題をわかりやすく解説したと評判。4代続くクリスチャンで自身も洗礼を受けている。

 第251回例会(2月延期分)は、自民党の石破茂幹事長が「自民党はどうかわったか」をテーマに講演した。また講演後のインタビューでは「知事の判断をいかに環境整備するかを我々は考えないといけない」と述べ、沖縄の基地負担軽減に取り組む考えを強調した。講演要旨はつぎの通り。

 前回衆院選では、われわれ自民党が勝ったというより、「もう民主党は勘弁してくれ」「第三極はいかがなものか」という有権者の意識が結果的に自公の議席を増やしたと思っている。それに、前回衆院選の自民党の得票は全体の43%。43%の票で、79%の議席を獲得した。これは小選挙区制の特徴によるものだ。われわれはこうしたことを忘れてはならないと思っている。
 政権を失った後、われわれは徹底的に議論した。「もう自民の言うことは聞きたくない」という思いが国民にあったと思う。確かに、1年ごとに首相を代え、大臣もしょっちゅう代えたのは間違いだった。
 党の中身を変えるため、具体的には党綱領の見直しをした。そして、自民党は独立国家にふさわしい憲法をつくらなければならないということに至った。4月28日に「主権回復の日式典」を東京で実施するが、これは、主権回復とともに、沖縄、奄美、小笠原といった主権回復ができなかった人たちの思いをしっかり認識する日でもあると思っている。
 日本の憲法には軍隊規定がどこにもないが、国家の独立と、言論、信教、結社などの自由を侵そうとする動きがあれば、これを排除するのが軍隊だ。私は非常事態条項を盛り込むことについても発言し、批判の声もあったが、どの国の憲法にもあることだ。憲法改正を何年かかっても実現するのが自民党だ。
 また、自民党は税制改正もしていく。超高齢化社会を賄う財源としては消費税に依っていかざるを得ない。GDPを上げていくためには企業の負荷を軽減しないといけない。それが福祉社会にもつながっていくと考える。
 悪弊を直し、親切で謙虚な政党に自民党をしていきたい。一方で、選挙に強い自民党を作っていかないといけない。大量当選、大量落選を繰り返してきたが、こんなことを続けていてはまともな政治はできない。
 アベノミクス。金融緩和は今までの主流ではなかったが、安倍総裁は前回首相を辞めてから5年間、勉強をしてきたんだと思う。経済成長戦略としてTPPにも取り組まなければならない。
 TPP圏内では日本は第二の権力を持つ。米国が無茶を言ってきたら止めるようにしないといけないが、政権が弱体だと守れるものが守れなくなる。政権、大臣がしょっちゅう代われば、国際的信頼はない。それに高い関税で農業が守れるのだろうか。農業は後継者不足だというが、もうけることのできる農業にしていけばいい。
 中国は、尖閣諸島でさまざまな動きを見せているが、中国は中国の国益のためにやっている。かつてソ連が「オホーツク海は聖域であり、生命線」としてきたが、中国も同様のことを考えているのだろう。我が国に隙がないか。海保の態勢は十分でなく、海保と海自の連携も十分ではない。法制、能力、運用に隙があればつけこまれる。
 抑止力維持と負担の軽減は必要だ。沖縄の米軍名普天間飛行場移設に向け、辺野古沖の埋め立て申請を政府は沖縄県に出した。知事の(埋め立て承認に向けた)判断ができるよう、環境整備をしないといけない。普天間の固定化は絶対に避けなければならない。本土で受け入れられるものは受け入れるようにする。国民、領土を守る部隊が日本にはない。参院選では、最低でも自公合わせて過半数を取る。1人区は取りこぼさない。東京都議選にまず勝つ。

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