毎日・世論フォーラム
第270回
平成26年11月10日
衆院地方創生に関する特別委員長、元総務相 鳩山 邦夫

テーマ
「地方創生への取り組み」

会場:ソラリア西鉄ホテル

地方創生向け、財源問題指摘

鳩山 邦夫 元総務大臣
(衆院地方創生に関する特別委員長)

鳩山 邦夫 氏

プロフィール

鳩山 邦夫
(はとやま くにお)

1948年9月、東京都出身の66歳。71年東京大学法学部卒業。故・田中角栄元総理秘書を経て、76年の衆議院総選挙で、旧東京8区から新自由クラブ推薦で初当選。05年、母方の祖父で、ブリヂストン創業者の故・石橋正二郎の出身地、久留米市を中心とする福岡6区に移り、現在12期目。文部大臣、労働大臣、法務大臣、総務大臣、内閣府特命担当大臣(地方分権改革)、民主党副代表等要職を歴任。14年10月から衆議院地方創生に関する特別員会の委員長に就任した。

 第270回例会は、自民党の鳩山邦夫・元総務相が「地方創生への取り組み」と題し講演した。衆院地方創生特別委の委員長を務める鳩山氏は「財務省が中心に座っている構図では地方は苦労する」とし、「例えば地方交付税を根本的に増やす。地方に行くと法人税が安くなるようなことを考えてもいい。それをやらないと地方創生の糸口である財源の問題が解決しない」と述べた。また、安倍晋三首相について「経済を再生の軌道に乗せることが必要。あと6年は首相をやる気がある」と言い、長期政権を見据えて支えていくことを強調した。講演要旨は次の通り。

 日本で戦後、米国の大統領のように8年間にわたって首相をやった人はいない。安倍(晋三)さんにはあと6年ぐらい首相をやってもらいたい。長期政権にすることが日本の国際的な信用を得るために、経済を再生させるためには必要だ。久留米市長らが久留米のツバキを首相官邸に持って行った。その時、私が首相に「これから久留米のツバキを毎年、あと6回はお届けしたいが、いかがですか」と言ったら、「それはありがとうございます」とおっしゃったから、あと6年は首相をやるつもりだなと思った。菅義偉官房長官にも「長期政権は間違いないですね」と何度も確かめた。
 長期政権が必要だと思うのは、細切れ政権が続いて、日本は経済でも、農業でも苦しい状況に置かれた。日本経済を再興するアベノミクスにも時間はかかる。だから3本の矢、成長戦略をどういう風に求めるかということで地方創生が出てきた。地方創生とは一体何であるか。結論から言えば、地方に魅力を持たせて、地方に人が集まるように、東京一極集中を少しでも是正することだ。
 これまでも、数々の実験が繰り返されてきた。田中角栄さんの「日本列島改造論」、大平(正芳)さんは「田園都市構想」を発表した。竹下登首相は「ふるさと創生」で自治体に1億円ずつ配った。これらの政策は戦略的な意味はあっただろうが、問題の根本的な解決はできていない。そこで地方創生となった。
 私が小学生ぐらいの頃だったか、守屋浩の曲(「僕は泣いちっち」)が大ヒットを飛ばした。「♪僕の恋人、東京へ行っちっち。僕の気持ちを知りながら。なんでなんでなんで、どうしてどうしてどうして、東京がそんなにいいんだろう♪」って。これを逆転させない限り、本当の地方創生というのは完成しない。地方に人が行きたがるようなものをどんどんと打ち出さなければならない。「どうして、どうして、どうして福岡がいいんだろう」って、そういう感覚を国民が持った時、福岡県の地方創生の勝利だと思う。
 私は2段階だと思う。まず第1段階として、東京圏の一極集中の人口を減らす。東京から福岡市など地方の政令都市に人を吸い寄せる。そして、第2段階として、福岡市から久留米市など(地方都市)へ人を吸い寄せるだけの魅力あふれる地方創生をやっていただく。
 財務省が中心にドンと座っている構図では、地方は苦労する。三位一体の改革では、地方に配る補助金、交付税を減額した。一方で、地方の税を増やそうとしたが結局、増収でクリアした分はほんのわずかで、減らした分が数兆円ぐらい、そのぐらい下がった。これでは完全な地方いじめですよ。
 だから例えば、地方交付税を根本的に増やす。所得税や法人税、酒税のパーセンテージはこの30年ぐらい変わっていない。地方交付税が自動的に増額となるような計算をしてもいい。あるいは、1国2制度があってもいい。東京圏から地方に行くと、法人税や所得税が安くなるような在り方が、あってもいい。少なくとも、それぐらいのことをやらないと、地方創生の糸口となる財源の問題は解決しない。
 地方に知恵を出してもらい、総合戦略を作ってもらって、それを我々が支援する。大変、困難な道だと思う。我々もこれからが勝負だと思っているが、本当に勝負するのは福岡県であり、久留米市であると思う。それが地方創生だろうと考えている。雇用を作ることもだが、やはり魅力。そこに住むことに魅力を感じる世の中を作らねばならない。

年度別アーカイブフォーラム