毎日・世論フォーラム
第264回
平成26年4月23日
結いの党代表 江田 憲司

テーマ
「アベノミクスと野党再編の動き」

会場:ホテルニューオータニ博多

夏までに新党結成

江田 憲司 結いの党代表
江田 憲司 氏

プロフィール

江田 憲司
(えだ けんじ)

1956年岡山県岡山市生まれ。79年東京大学法学部卒業。同年通商産業省(現経済産業省)入省。内閣総理大臣秘書官、通商産業大臣秘書官を経て、日本環境財団理事、桐蔭横浜大学法学部客員教授、みんなの党幹事長、結いの党代表。当選4回。著書に『誰のせいで改革を失うのか』(新潮社)他多数。

 第264回例会は、結いの党の江田憲司代表が「アベノミクスこの今後と野党再編の動き」と題し講演。江田氏は日本維新の会との合流について「どんなに遅くとも夏までに結いの党はなくしていかなければならない」と述べ、今夏をめどに新党結成を目指す考えを示した。講演要旨は次の通り。

 行く先々で「(みんなの党から)出ておいて良かったね」と言われるが、たまたま出たのではなく、お金の不明朗な扱いを指摘してみんなの党の幹事長を昨年末に更迭された。当時、元代表に8億円の借入金があるとは知らなかった。みんなの党は政党助成金を年間17億円、立法事務費は推定で2~3億円もらっていたが、元代表が一人で差配し、誰にも触らせなかった。こんなことがあってはならないと意を決し、昨年夏に両院議員総会を開いて50万円以上の支出は幹事長決裁、100万円以上は代表決裁という手続きを整備した。それが気にくわなかったのでしょう。私は幹事長をクビにされた。みんなの党の結党の原点は二つある。一つは政界再編、二つ目は脱官僚。本当に断腸の思いだったが、原点を見失った政党にこれ以上いるわけにはいかなかった。
 自民も民主も寄り合い所帯で、重要政策ほど党内で足を引っ張り合う。そこで官僚が出てきて、足して2で割って見事な官庁文学のきれいな言葉で飾る。政界再編はこうした寄り合い所帯の政党を整理整頓し、政治理念と基本政策を少なくとも一致させる。これが私の理想とする政党政治だ。
 今の一強多弱といわれる政治状況は打破しなければならない。自民党に対抗しうる政権交代可能な勢力を作っていく。日本維新の会の橋下さんとは人間的な信頼関係を構築してきた。はじめに合併ありきではないが、かなり距離感は縮まってきている。集団的自衛権の問題でも、維新は積極派、結いの党は慎重派と色分けされるが、そんなに差はない。維新が出した6項目も放置すれば日本の安全にかかわるという限定的なもので、政策合意は早晩合意に至ると思っている。
 最終的にこれからの野党再編は「この指止まれ」再編だ。政治家個々人の信念に基づき、この指に止まれるか止まれないか判断してほしい。野党を集めてまた寄り合い所帯を作っても同じことだ。官僚は対政治では足並みがそろう。税金の無駄遣いをただそうとすると、一致結束して抵抗してくる。政治の側は足の引っ張り合い。いかようにでも官僚がコントロールできる。政治が同じような寄り合い所帯の政党を作るのではまったく意味がない。国民は置き去りになって日本は衰退していく。
 アベノミクスが順調に見え、安倍政権が発足し1年経つのに60%近い支持率がある。しかし、景気が上向いて株が上がり、円安になっているという一点だけで、蜃気楼みたいな支持率だ。株が下がって景気が下がれば安倍政権の基盤は本当にもろい。第一の矢は見事に飛んだ。政治は結果責任だから率直に評価したい。しかし、これはカンフル剤。第二の矢は財政出動だが、これもカンフル剤だ。この景気を本当に持続可能なものにしなければならない。鍵を握るのは第三の矢の規制改革、成長戦略だ。成長分野に新規参入させていく。農業、電力エネルギー、医療、福祉、子育て、環境。脱官僚、脱中央集権で国の形を変え、民間の活力を最大限に引き出す政治を作っていかなければならない。これが我々の原点だ。
 安倍政権が規制を改革し、新しい血を成長分野に入れようという気があるのかを見ている。安倍政権はやわな基盤の上に立っている。いったん景気の流れが変わると、えくぼまであばたに見えてくるのが日本人だ。そういう時、自民党は駄目だが他にろくな党がないという状況は回避しなければならない。結いの党は政界再編政党だ。理念と基本政策を結びつける。まずは維新、それから民主、そして総選挙までに、もしかしたら公明や自民まで含めて大激動の政治になる可能性もある。次の総選挙にはもう結いの党は無い。どんなに遅くとも夏までには無くなっていると思う。それが政界再編政党を名乗った使命であり、宿命だ。

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